生成AI(人工知能)「チャットGPT」を展開する米オープンAIは15日、アジア初の子会社となる「東京オフィス」を開設すると発表した。自動車産業などで生成AIの活用が広がっており、営業やサポート体制を拡充する。

 同社のブラッド・ライトキャップ最高執行責任者(COO)が都内で会見し「東京はイノベーションテクノロジーのリーダーであり、テクノロジーが未来をつくる上でも重要なマーケットになる」と述べ、日本で生成AIの活用に注力する方針を示した。

 オープンAIのチャットGPTは、人と話しているような自然な対話ができる生成AIの中でも回答精度が高いとして利用者が増えている。信頼性やプライバシーなどの課題は残るが、幅広く業務を効率化できる可能性があり、生成AIを導入する企業が日本でも増えている。

 自動車業界でも、完成車メーカーや大手部品メーカーが導入を加速している。トヨタ自動車はデザイン部門に生成AIを導入、マツダも車両開発に生成AIを用いる。ソニーホンダモビリティ(川西泉社長兼COO、東京都港区)は車内システムに生成AIを導入するため、マイクロソフトと提携して開発している。

 オープンAIとしても、こうした企業の動きを踏まえ、新車開発などの業務や、車載システムとしての採用拡大に向けて東京オフィスを開設する。販売促進やカスタマーサポートなどを行う。

 海外メーカーでも、ステランティスグループのDSが車載インフォテインメントシステムにチャットGPTを用いている。フォルクスワーゲン(VW)もチャットGPTによる音声認識技術を搭載した新型車を年内に投入する予定だ。

 東京オフィスの開設で、日本でも車内の利便性や快適性の向上や、業務の効率化を図るため、チャットGPTを活用する動きが広がる見通しだ。