国土交通省の鶴田物流・自動車局長に再発防止策を手渡す伊藤社長(右)

 豊田自動織機は22日、エンジン認証不正を踏まえた再発防止策を国土交通省に提出した。「組織/体制」「しくみ」「風土」の改革を掲げ、認証部門の人員増強や試験設備への投資などの具体策を示した。伊藤浩一社長は「社会の中で企業活動をさせていただくための基本である法規順守ができていなかったことを深く反省している」と改めて謝罪し「再発防止策を全社挙げて着実に、徹底的に実行する」と語った。鶴田浩久物流・自動車局長は「ユーザーや関係者の信頼回復にもたゆまぬ努力を続けてほしい」と応じた。

 再発防止策の議論を進めてきた「再発防止プロジェクト」を「再出発委員会」に改め、伊藤社長が委員長に就いた。また、CSR委員会の下部組織だった「コンプライアンス分科会」を「コンプライアンス委員会」に格上げし、伊藤社長や関係役員による「リスク管理委員会」を新設するなど、再発防止策を推進する体制を整える。

 また、不正の背景にあった不合理な開発スケジュールを最適化するため、エンジン開発に必要な日程を確保するための「標準開発日程」を新たに策定する。法規認証関連部門では、人員体制を26年までに現状の1.6倍とする。認証用試験ベンチも現行の2機に加えて新たに2機を追加し、必要に応じてさらに増設する。

 外部有識者による特別調査委員会は、認証不正の要因として「産業車両軽視」を挙げた。このため、産業車両部門とエンジン部門が一体となって将来の商品計画や課題を検討する会議体を新設することも決めた。

 今後は、四半期ごとに再発防止策の進ちょくを国交省に報告し、外部にも公表する。

 伊藤社長は、再発防止策の提出後に省内で会見し、国交省から型式指定の取り消しを受けた産業機械用エンジン5機種について「再申請ができるような会社の体制にすることが重要で、まずは足元を固めていく」と、再発防止策の実行を最優先とし、再申請までには一定の時間がかかるとの認識を示した。

 一方で、同社製フォークリフト・建設機械の納車待ちの顧客がいることや、販売店の経営などを踏まえ「他社のエンジンメーカーと何かできることがあれば一緒にやっていきたい」と、他社からのエンジン調達を視野に入れていることも明らかにした。