日産自動車は、電気自動車(EV)「アリア」に車両価格900万円前後の最上級グレードとスポーツモデルを設定し、先行する輸入EVを追撃する。輸入EVは2023年の年間販売が2万2890台(前年比59・6%増)と好調だ。日産も、これまでのラインアップにはなかった高価格帯のEVをそろえ、高所得者層の需要を開拓する。
すでに追加予定を公表していた4グレードに加え、最上級グレード「B9e―フォース プレミア」を新たに設定する。価格は860万3100円(消費税込み)で、本革シートや先進運転支援システム(ADAS)「プロパイロット2・0」などを備える。
また、高性能モデル「ニスモ」も設定し、輸入EVと差別化を図る。車両価格は最大で944万1300円(同)で、国内で販売する日産EVの中で最高額だ。販売計画は明らかにしていないが、アリアのうち1割程度はニスモモデルを想定する。メルセデス・ベンツ「EQB」やBMW「iX3」といった輸入車EVと並ぶ価格帯となり、上級国産EVとして拡販を狙う。
タイヤやインテリアなどにニスモ専用の装備を用意したほか、「フォーミュラE」のレース車両をイメージした走行音を車の加減速に合わせて出す機構もオプションで備えた。独ポルシェ「タイカン」もEVの走行音に特徴を持たせている。EVは一般に静粛性を売りにすることが多いが、アリアニスモやタイカンのようなスポーツモデルは付加価値として演出音に工夫を凝らしている。
国内のEV市場をけん引する輸入EVはこれまで高価格帯が中心だったが、今は中国・比亜迪(BYD)が300万円台のモデルを売り出すなど、品ぞろえが広がっている。メルセデス・ベンツやBMWなど欧州勢もEVラインアップを増やしており、日産もアリアの価格帯を広げてEV販売を増やしたい考えだ。