会見する公取委の菅野城跡下請取引検査官と片桐取引部長(右)

公正取引委員会は3月7日、日産自動車が下請け企業36社に支払う代金を不当に減額したことについて下請法に違反するとし、再発防止策などの勧告を行った。日産による減額の総額は30億2367万6843円で、下請法違反としては過去最高額となる。

日産は2021年1月~23年4月までの間、タイヤやホイールなどを製造する下請け企業に対し、原価低減を目的に下請け代金を減額していた。公取委の片桐一幸取引部長は「(違反が確認された期間の)ずっと前から続いていた。通常の取り引きの延長線上のように位置付けられていた」と説明。日産からの要請に対し、下請け企業は「なかなか(要望を)言えない」(菅野善文上席下請取引検査官)状況となっていた。

自動車業界で発生した下請け企業に対する減額で、公取委が勧告・公表した事案は日産を含めると14件となる。

今回の下請法違反を受けて、公取委は日産に対して経営トップを中心とする社内体制整備に必要な措置を講じることなどを求めた。さらに公取委は日本自動車工業会をはじめとした業界全体への啓発活動にも取り組んでいく。

日産は「今回の勧告を大変重く受け止めている。サプライヤーとの強固な信頼関係なくして、双方の事業の発展は成し得ない。法の遵守状況についての定期点検体制の強化などを行うとともに、再発防止策の徹底に取り組み、今後の取引適正化を図っていく」とコメントした。

同社は減額分について、24年1月31日に下請け企業に支払いを済ませているとした。