サンデンは28日、公正取引委員会から下請代金支払遅延等防止法(下請法)違反で勧告を受けたと発表した。公取委は、サンデンが下請け企業61社に自動車空調用コンプレッサーなどの部品製造に使う4千個超の金型などを長期間保管させたことは「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」に当たるとして勧告した。公取委の藤岡賢史上席下請取引検査官は「型の無償保管要請の事案において下請事業者数や保管させた型の数は過去最大になる」と述べた。また、サンデンは業績への影響は精査中とした。

 サンデンは遅くとも2022年1月以降、部品発注を長期間行わなかったにも関わらず、貸与した空調用コンプレッサーや空調システム製品の部品製造に使う金型を資本金3億円以下の下請け企業へ無償保管させた。該当の金型などは計4220個に上り、最大1立方㍍、3㌧の金型もあったという。下請け企業が負担した保管費用の総額について公取委の藤岡上席下請取引検査官は「試算したところ1億円は超える」とし、保管費用相当の金額を下請け企業へ支払うようにサンデンへ求めた。

 サンデンは「下請法への理解が不十分だった」とし、「費用に相当する額を公取委の確認を得た上で速やかに対象事業者に支払う」という。また、金型などの適正な管理を含む下請法の研修なども実施する方針だ。

 「金型等の無償保管要請」はメーカーが下請け企業に対して金型などを無償で保管させる行為で、下請け企業の不利益につながるおそれがある。過去には発電用高温高圧バルブなどを手がける岡野バルブ製造や電子部品メーカーのサンケン電気が勧告を受けた。

 金型業界に詳しい関係者らは「当たり前だった商習慣を見直すきっかけになってほしい」「メーカー側、つまりトップダウンで解決する必要もある」と指摘した。