中国をのぞけば日産車の生産は好調だったが…

 日産自動車を主取引先とする部品・車体メーカー7社の2023年4~12月期業績は全社が増収、5社が増益となった。円安効果に加え、日産車の生産が日米などで好調だったためで、アルファ、パイオラックスの2社は通期見通しを上方修正した。一方、日本車の販売が振るわない中国事業は採算性の悪化が深刻で、「来年度もこの流れが続く」との見方が強い。日本車不振の長期化を見越し、各社は生産体制の変更や現地メーカーへの拡販に力を入れる。

 日産の4~12月期の世界生産は前年同期比0・3%増の253万4千台と微増にとどまった。日米欧といった中国を除く市場では前年同期に対し2割以上、生産が増えたが、同時期に4割ほど生産が減った中国の不振が相殺した。

 日産に限らず、日本メーカーは新エネルギー車(NEV)シフトの遅れから中国市場で苦戦を強いられている。EVで繰り広げられている過度な値引き競争の煽りも受けており、日産車の中国での台当たり売上高は前年同期に比べ8%減った。トヨタ自動車やホンダといった他メーカーもおおむね同様の状況だ。

 完成車メーカーの不振はサプライヤーの業績にも影を落とす。海外に拠点を持たない日産車体を除く6社の4~12月期のアジアセグメントの業績は6社とも減収で、河西工業、ファルテック、パイオラックスの3社が減益、ユニプレス、ヨロズ、アルファの3社が赤字だ。売り上げベースで前年同期に比べ2割から3割強、落ち込んだ企業が多い。「24年は、23年以上に我慢の年になる」(日産系部品メーカー首脳)との声もあった。

 こうした事態を打開しようと、日産系サプライヤーでは現地メーカーとの取引を開拓する動きが活発になってきた。ヨロズ、ファルテックなどは研究開発(R&D)機能を強化し、中国独特のリードタイムの短さに対応できる体制作りを進めている。一方で、中国にある生産拠点の統合や、再配置の検討を始めるサプライヤーもある。

 中国以外にも懸念材料はある。ローン審査の厳格化で新車販売が失速するタイでは「1トンピックアップトラックの販売減が予想され、来期は不透明な状況」との声がある。北米での人件費高騰の影響も顕在化してきており「グローバルで4~12月期累計で(固定費に)約4億円の昇給影響があったが、このうち3・8億円が米州分だった」(日産系サプライヤー担当者)との声も。労務費上昇分の価格転嫁が急務だ。

 日産は、来月にも新しい中期経営計画を公表する予定だ。中国市場のテコ入れや、電気自動車(EV)を始めとする次世代製品群の投入計画などが示される見込み。サプライヤーの事業戦略にも影響を及ぼしそうだ。