2027年に電気自動車(EV)専門ブランドを目指す伊アルファロメオ。23年は初の電動車となる「トナーレ」を発売し、24年はブランド初のEV「ミラノ」を売り出す。今後のEVシフトの方向性などについて、同ブランドのジャン=フィリップ・インパラートCEO(最高経営責任者)に聞いた。
―日本市場の特徴をどうみるか
「日本人の特性は2つある。まず非常に辛抱強い。もう一つはディテールまでこだわり、顧客の要求も高いように感じる。この2点はリスペクトすべきところだ。それから単なる移動ツールではなく、クルマが人生の一部だと感じる人が多い。こういった特性から、日本では特に顧客満足度が重要で、ここは絶対に(アルファロメオとして)妥協はしない。皆さんの予想を良い意味で裏切りたい。(来日したときに)日本の販売会社とのコミュニケーションを取り、どういった顧客がいるのか、どんなやり取りを(顧客と)しているのかなどを直接、教えてもらっている」
―グローバルでEVを投入していく
「今年以降、全世界でEV投入を計画している。24年にEV『ミラノ』を公開する。EVとマイルドハイブリッド車を設定する。『ジュリエッタ』や『ミト』オーナーへの提案になるだろう。21年にEV専業への方針を示してから3年でEV投入を実現できた。25、26年には『ステルヴィオ』や『ジュリア』の次世代モデルが登場する。これにはステランティスの新世代電動プラットフォーム『ステララージ』を活用する。27年はさらに(ブランドとして)上を目指したい。おそらくEセグメントも投入する。欧州以外の日本や米国、中国で車両販売するとなるとEセグメントの提案が不可欠だ」
―日本にも同様に商品投入していくのか
「日本にとって必要なモデルがあればいつでも持ってくる準備ができている。『ミラノ』は東京や大阪などで公開したい」
―EVではバッテリーなどコストの抑制が課題だ
「全体的に開発コストが上がっている。バッテリー関連(部材)の高騰もある。コスト問題は解決できないかもしれないが、少なくともコントロールはできるようになる。世界的なコスト高騰の影響をできるだけ下げる努力をしていくために、ディストリビューションコスト(配送費など)の削減にも常に取り組んでいる」
―アルファロメオは内燃機関(ICE)ファンが多いが
「(ICEなど)ブランドとしての特徴をキープする一方で、サステイナビリティーも必要だ。このバランスが難しい。(EVとICEの)両立ができるならやるが、(両立が)可能でないならブランドが存続する方を選ぶ」
―EU(欧州連合)は35年のガソリン車販売禁止方針を一部転換した。影響は
「戦略は変えずに一貫して進めたい。eフューエルは限られた車種では良いオプションになると思うが、大量生産車では絶対的な解決策になるものではない。(EVで)ゼロエミッションを達成できるのであれば、(eフューエルの)可能性は低いだろう。法規制の方向性がどう変わるかもわからない。ICEファンが多いが(EVへの)転換が必要だ」
(藤原 稔里)