ボッシュは半導体の内製化を進め、自動車業界の需要急増に応えていく

【米ラスベガス=中村俊甫】独ロバート・ボッシュは、2023年8月末に買収した米カリフォルニア州ローズビルの半導体工場に、今後数か月間で15億ドル(約2165億円)以上を投資すると発表した。電気自動車(EV)の高電圧化に伴い需要が急増するSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の生産能力を増強し、2026年までの量産開始を目指す。

1月9日に開かれたCESの記者会見で今後の方針を明らかにした。EVの航続距離の伸長や充電時間の短縮などを目指し、現状の400ボルト駆動から次世代EVでは800ボルトへと高電圧化が進む見通し。EVに欠かせないインバーターに用いられるパワー半導体も、シリコンに代わって高電圧化に耐え電力損失の少ないSiCの需要が急増する見込み。ロバート・ボッシュはSiCが従来の半導体チップに比べて消費エネルギーを半減でき、航続距離も平均6%伸びるとする。

同社は昨年、米半導体メーカーTSIセミコンダクターズを買収し、半導体の内製化を進める。ここでSiC半導体ウエハの製造能力を増強し、量産化を急ぐことで、性能や価格競争力に優れたeアクスルなど電動化製品の市販化につなげていく狙いだ。