ファナックは、バッテリー(左上)や完成車を自在に持ち上げ、高い可搬能力をアピール
オムロンは外観検査と搬入出の自動化を提案した
ブリヂストンは「ウマル」で人とロボットの新たな関係性を問いかけた

 「2023国際ロボット展」(日本ロボット工業会など主催、オンライン開催は15日まで)では、人手不足や生産量の変動といった製造現場の課題解決につながる提案が相次いだ。電動化を中心に変化が進む自動車業界に向けては、車載バッテリーの搬送や半導体の製造に寄与するロボットの展示が目立った。自動車部品メーカーはコア技術をロボットにも応用し、新たな価値を提案した。

 

◆重さ1㌧の構造物を搬送

 自動車業界向けでは、電気自動車(EV)製造時の課題解決に寄与する提案が目立った。ファナックは、重さ1㌧の構造物を搬送できる「M―1000」を用いた「EVバッテリ搬送システム」を提案した。EVのバッテリーは重さが400~500㌔㌘ある。M―1000は、関節を同軸に並べた「垂直多関節」方式で搬送物を真上に持ち上げることもでき、作業場所を取らないことが特徴だ。ブースでは新型の500㌔㌘可搬ロボットによるボディーパネルの取り付けや、可搬質量1700㌔㌘のロボットで完成車を持ち上げるデモも実施し、来場者の注目を集めた。

 安川電機もEVのバッテリー搬送に適した「モートマン―ME1000」を初出展した。水平動作に特化した、可搬質量1㌧の「スカラ型ロボット」で、従来の6軸型に比べて設置面積は4割、モーター容量も6割削減した。省エネルギー性もアピールし、来年発売を予定する。

 オムロンは、ロボットとAMR(自律走行型搬送ロボット)を組み合わせた、次世代の生産ラインを提案した。外観検査を自動化するカメラの前にAMRが精度良く静止し、ワーク(工作物)を載せたまま検査し、自動で搬出するデモを実施した。また、大型化するパワー半導体ウエハの搬送用ロボットや、位置ずれや気泡を防ぎながらチップなどに保護フィルムを自動で貼りつけるソリューションも提案した。「フレキシブルライン」では、ロボットアームの4本の爪を制御し、人間の手のようにワークを持ち運ぶデモを実施。人とロボットが協調し、需要や人繰りの変動、少量多品種生産に対応できる技術をアピールした。

 

◆コア技術をロボットで活用 

 自動車業界からもコア技術を生かした提案があった。

 デンソーウェーブ(相良隆義社長、愛知県阿久比町)は、人協働ロボット「コボッタ」による機能拡張事例を紹介した。生成AI(人工知能)、「チャットGPT」を活用し、人の声を言語化してロボットプログラムを生成できる技術も提案した。あたかも人に指示するような形で高度なプログラムを生成できる可能性を秘める。ブースでは、自然な言語でのオーダーを理解し、ロボットがコーヒーを抽出するデモも実施した。

 ブリヂストンは、ゴムの特性を生かし、複雑な形状の物体を扱える「ソフトロボットハンド」を開発し、2026年までの事業化を目指している。今回はデザインコンサルティング会社とともに考案した新たな体験型展示「ウマル」を出展した。横並びにされた「ラバーアクチュエーター」の上に寝そべると体が沈み込むもので、機械的に作業をこなす無機質なロボットとは一線を画す提案だ。

 同社ソフトロボティクスベンチャーズの音山哲一CEO(最高経営責任者)は「ゴムの人工筋肉をダイレクトに感じてもらおうと考えた。人とロボットの新たな関係性や価値を試す場として展示した」と狙いを話した。

(中村 俊甫)