茨城工場では「Gen5」の生産から始め、25年以降に「Gen6」の生産も開始する

 中国系車載電池メーカーのAESC(松本昌一CEO、神奈川県座間市)は、電気自動車(EV)用電池の材料確保やリサイクル技術の確立に向け、日本企業と連携する。レアメタル(希少金属)の採掘権を獲得するために商社と組むほか、工程で出る端材を用いたリサイクル技術の確立に向け材料メーカーなどとも協業する。2025年以降に国内で量産を見込む次世代電池の投入をにらみ連携を急ぐ。先進国政府は中国を念頭にEV用電池のサプライチェーン(供給網)規制に動く。AESCは「日本連合」(松本CEO)を構築して規制リスクに対処する。

 リチウムやニッケルなど電池に必要なレアメタルを確保するため、すでに商社などと交渉に入った。合意に達し次第、採掘権の確保や鉱山への出資を進める。2024年春に稼働予定の茨城工場(茨城県東茨城郡)で25年以降に生産開始を予定する次世代電池「Gen6」や、27年以降に量産化を見込む全固体電池からこうした材料を用いる考えだ。

 日本の材料メーカーやリサイクル事業者との連携も進める。電池の生産工程などで出る端材から有益な鉱物を抽出する新たな技術を開発し、30年以降をめどに、端材から新たな正極材をつくれるようにする。

 電池材料の産出は特定国に偏在している。中でもリチウムや黒鉛は中国への依存度が高い。欧米は自国にEVや電池産業を集積させる狙いから中国産原材料などの使用を制限し始めている。

 AESCは、主力の日産自動車向けに加え、ホンダやマツダなどにも茨城工場で生産したリチウムイオン電池を供給する方針。将来的な電池生産量の拡大に向けては、こうした規制リスクを念頭に置く必要があり、対応を急ぐことにした。松本昌一CEOは「(欧米の厳しい基準に)ミートする供給網を日本企業と構築する」と語った。