東京大学大学院新領域創成科学研究科やブリヂストン、日本精工、デンソーなどの共同研究グループは3日、電気自動車(EV)の走行中給電の公道での実証実験を開始した。2025年3月までの1年半にわたり、千葉県柏市の柏の葉キャンパス駅付近で実施する。公道での走行中給電技術の実証実験は日本初で、30年ごろの事業化を見据え、規格の標準化を目指す。10秒間の充電でEVが1㌔㍍走行できるとしている。

 2台の実験車両のばね下、地上から5.5㌢㍍の位置に受電コイルを取り付け、路面に埋め込まれた送電コイルから給電する。受電コイル付車両の通過時のみ車両を検知して給電するシステムで、待機電力を抑えている。アスファルトに埋め込まれた送電側のプレキャストコイルは繊維で補強し、安全性も確認しているという。SiC(炭化ケイ素)パワーデバイスで電力をコントロールし、プラグインハイブリッド車(PHV)などにも対応する。

 研究グループは18年から走行中給電システムの研究に取り組んでいる。EVは走行中に温室効果ガスを排出しないもののバッテリーの容量不足による航続距離の不安や、充電設備の不足が指摘されている。走行中給電技術はこうした課題の解決策となる可能性がある。

 同大学大学院新領域創成科学研究科の藤本博志教授は「導入へのスタートラインに立てたことを誇らしく思う。モビリティのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に向け、実証実験を進めていきたい」と話した。