実験車両と路面構造

 東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤本・清水研究室は30日、2023年秋をめどに千葉県柏市内で国内初となる電気自動車(EV)走行中給電の公道実証実験を開始すると発表した。同研究室が柏市などと進めている研究テーマが国土交通省の「道路に関する新たな取り組みの現地実証実験(社会実験)」に採択されたことを受けて、実施する。期間は1年間を予定。公道実験を通じて、EVのバッテリー搭載量を大幅に減らしながら、航続距離を延伸できる走行中給電の実力を広め、早期の社会実装を目指す。

 実験は同研究室と柏市、その他機関で組織する「柏ITS推進協議会」の枠組みで実施。東大柏キャンパスが立地する柏の葉地区の公道で技術検証と社会的受容性の確認を進める。

 EV走行中給電は、道路に埋設した送電コイルから走行中の車両に非接触で電力を送るシステム。EV普及の課題となっているバッテリーのコストや供給問題の解消につながる技術として欧米では研究開発が活発化している。

 東大の藤本博志教授は「海外では走行中給電の実証実験が次々に進められている。日本は技術面で優れても社会実証が遅れていた。今回の実験を機に世界を主導できるよう研究に取り組んでいく」と意気込みを述べた。