日産自動車は25日、欧州に投入する新型車を2030年までにすべて電気自動車(EV)にすると発表した。欧州では電動車比率を26年度に98%に引き上げる目標を掲げ、このうちEVを78%にするとしている。30年の目標を新たに設定し、電動化に本腰を入れる。

 ロンドン市内の日産デザインヨーロッパのデザインセンターで開いた設立20周年の式典で内田誠社長が表明した。内田社長は「EVの普及は(長期ビジョンの)『ニッサンアンビション2030』の中核であるカーボンニュートラルを達成するための鍵となる」と語った。

 日産は、23年2月に長期ビジョンを見直し、30年までに世界でEV19車種を投入する方針を示している。主要市場の中で欧州は最も高い電動車比率を想定しており、30年までのEV化目標を新たに設定することで、同地域での電動化を加速する。

 同社は英国北部のサンダーランド工場でEV「リーフ」やシリーズハイブリッドシステム「eパワー」を搭載する「キャシュカイ」などの電動車を生産している。総額10億㍀(約1800億円)を投じ、車載電池工場を含むEVの生産拠点を新設する計画も発表している。7月には仏ルノーと出資比率を対等にすることで最終契約を締結した。同時にルノーが設立するEVやソフトウエアの新会社「アンペア」への出資も決定。EVのコスト競争力強化やラインアップ拡充を図る。

 欧州では、EV化を一部見直す動きがある。英政府は20日、30年としていた内燃機関車の新車販売禁止時期を35年に先送りすることを決めた。欧州連合(EU)も合成燃料の使用を条件に35年以降も内燃機関車の走行を認める方向にしている。日産は規制に先行し、欧州でのEVシフトを加速させる考えだ。