あの時代、首相秘書官の仕事は命懸けであった。立石優著『鈴木貫太郎』で、「秘書官になるよ」「そうしてくれたら、助かる」と親子が静かに語り合う◆これは組閣を拝命して帰宅した鈴木貫太郎と長男である鈴木一の重苦しい会話だ。陛下から託された内閣の使命は戦争終結。陸軍の抵抗は必至。首相は命を狙われる。いつも一は鞄を持ち、首相に付き添い、鞄と自らで首相の盾にな…