Taktのイメージビジュアル
加飾フィルムによりフロントマスクのデザインが変わる

 日本ペイント・オートモーティブコーティングス(西村智志社長、大阪府枚方市)は、2023年度のコンセプトカラー「Takt(タクト)」を発表した。電気自動車(EV)など、車種に合わせて3カテゴリーで構成した全25色のカラーパレットだ。外板色向けの提案として加飾フィルムを初めて取り入れた。光を透過させたり、メタリック調の意匠を表現したりと、塗装では難しかったデザインが可能になる。同社はEV化に伴う変化として「グリルレスデザイン」へのシフトを挙げ、フィルムを活用した新たな意匠表現を提案していく。

 タクトはドイツ語で指揮棒や拍子を意味する。コンセプトには、昨今の価値観の変化を背景に、時間・空間・環境を自由に選択できる世界で、タクトを振るように「自分の場所や時間を紡(つむ)ぐ」というメッセージを込めた。

 EV向けにベーシックさを意識した「ユニゾン」、SUV向けに独自の視点で環境への調和を再解釈した「アンビエント」、スポーツ車向けにエンターテインメント性も兼ね備えた「シャッフル」で構成している。

 コンセプトカラーは、これまで培ってきた技術をベースに、新たな材料や素材、工程を取り入れながら、時代を先読みしたカラーを提案する取り組みで、1990年代から実施している。同社は自動車を取り巻く変化を踏まえ「既存の顧客はもちろん、EV新興メーカーやモビリティ関連企業に対してのアピールにもなる。機能やデザインの面で、従来の枠にとらわれない新たなニーズやビジネスチャンスが生まれることを期待している」としている。

(2023/5/29修正)