塗装工程は、自動車生産におけるCO2排出の4分の1を占める

 トヨタ自動車の「超高塗着エアレス塗装技術を基点とするCO2削減自動車塗装システム」が、第69回「大河内記念生産特賞」を受賞した。塗装ブースの容積を約7割、二酸化炭素(CO2)排出量を約6割減らせるものだ。2021年の世界生産で延べ643万台の利用実績があり、同業他社や他業種にも利用が広がっている。

 塗装技術を手がける同社グループのトリニティ工業との共同受賞だ。空気を使わずに塗料と車両間の静電引力によって塗料を微粒化し塗着させる「静電微粒化現象」を用いる。ミストの飛散を減らし、車両への塗着効率を最大70%から95%以上に高めた。さらに、未塗着塗料の回収に水を使わず段ボール製のフィルターを用いることで空調装置の除湿機能を不要とし、塗装ブースも小型化した。

 一般に塗装工程は、自動車の生産工程におけるCO2排出量の約25%を占めるとされる。現在は既設ラインの中塗りやクリア工程に導入されており、将来的にラインの全工程に導入することで、大幅なCO2排出量削減が期待できる。

 トヨタが大河内賞を受賞するのは3年ぶり13回目だ。