センチュリーブランドのクーペモデル
6輪車の「レクサスLSコンセプト」

 トヨタ自動車は、オウンドメディア「トヨタイムズ」の生配信を通じ、トヨタが持つブランド群(ダイハツ含む)を再定義する方針を14日までに示した。

 車名だった「センチュリー」は最上級ラグジュアリーブランドとして位置付け、レクサスは「誰の真似もしない」ブランドとして独自路線を突き詰める。トヨタブランドは〝誰ひとり取り残さない移動の選択肢〟を提供し、ダイハツブランドは小さい車の価値を追求する。

 13日の生配信には、豊田章男会長のほかサイモン・ハンフリーズ執行役員、CMディレクターの小西利行氏、篠原誠氏、野添剛士氏が出演した。センチュリー、レクサス、トヨタ、GR、ダイハツの各ブランドについて、新しいCM(GR除く)を公開し、それぞれのポジショニングについて紹介した。

 

◆「センチュリー」 車名から進化唯一無二の「最上級」

 センチュリーは車名からブランドへと進化する。今後は唯一無二を意味する「ONE of ONE」をメッセージとして発信し、トヨタでもレクサスでもないラグジュアリーブランドとして位置付ける。配信では、オレンジ色でクーペスタイルの新型モデルを初披露した。豊田会長は「センチュリーをブランドにして居場所を明確にすることを出発点に、これからのセンチュリーを考えたい」と語った。

 

◆「レクサス」 より強く「挑戦」独自路線を突き詰め

 センチュリーが最上級ブランドになることで、レクサスは1989年の誕生以来、守ってきた「挑戦」をより強く打ち出す。新CMでは「ディスカバー」「誰の真似もしない」をメッセージとして発信し、3列シートのプレミアムミニバン「LSコンセプト」を初公開した。

 豊田会長は「LSのSをセダンと決め付けることはない。レクサスのフラッグシップなんだから」と説明。高級車の新しい形として、海外の富裕層にも受け入れられるプレミアムな室内空間を提供する新しいパッケージを開発していくという。サイモン・ハンフリーズ執行役員は「(センチュリーが上級移行することで)レクサスの動きが自由になる」と補足した。

 

◆「トヨタ」 誰も取り残さない移動の選択肢を提供

 トヨタブランドの新CMでは「誰ひとり取り残さない」「すべての人に移動の自由を」の考えのもと〝マルチパスウェイ戦略〟を推進し、多くの選択肢を用意しているメッセージとして「TO YOU TOYOTA」を発信する。また、商品軸経営の象徴として「ジャパンモビリティショー2025」で発表予定だったコンセプトカー「カローラコンセプト」をブランド広告に採用した。豊田会長は「誰も取り残さない、そこに選択肢を提供する。それがトヨタの一番の役割。それを〝TO(トヨタ)がYOU(あなた)のために〟で感じていただけるとうれしい」と話した。

 

◆「ダイハツ」 小さいからこその価値人々の暮らしを支えて

 軽自動車を手掛けるダイハツは「小さいからこそできること」というブランドメッセージを込める。新CMでは、時代のニーズや人々の暮らしを支えてきた小さい車の発明の歴史を「わたしにダイハツメイ(大発明)」とのメッセージとともに紹介。「ミゼットX」の未来形も披露した。豊田会長は「100%子会社だからトヨタの求心力ではなく、ダイハツそもそもが持っている『トヨタには近づかない』という遠心力を応援したい」と語った。新CMについては「ダイハツの社員が元気になるようにやってほしい」との注文が豊田会長からCMディレクターに出されていたという。

 

◆「GR」 スーパースポーツカー年内には新型を公開

 今回の生配信で唯一、新CMを公開しなかったGRだが、開発中のスーパースポーツカーを豊田会長が年末にワールドプレミアする計画であることを明らかにした。実車は来年1月の「東京オートサロン2026」で披露される予定だ。

 GRを除く各ブランドが新CMで披露した新型モデルは30日に開幕するジャパンモビリティショー2025で展示される。