アイシンは19日、電動車などに搭載するモーターの高効率化につながる新材料を使ったモーターステーター(固定子)を初公開した。超低損失の軟磁性材料「ナノメット」を用いる。2029年までの量産を目指す。eアクスルへの搭載を見込んでおり、ナノメットを開発する東北マグネットインスティテュート(宮武孝之社長、宮城県名取市、TMI)との協業を進め、さらなる性能向上や量産技術の確立を進めていく。

 モーターは、ステーターの中に組み込まれているローター(回転子)を磁力で動かす。今回、ステーター側に用いたナノメットは、高い飽和磁束密度と低鉄損を両立していることが特徴だ。省エネ効果が高く、車重2トンクラスに搭載した場合、モーターのエネルギー損失を半減させることができるという。モーターだけで約3%の電費(航続距離)向上が見込め、二酸化炭素(CO2)排出低減にもつながる。

 ナノメット自体は、同社が昨年6月に資本参加したTMIが開発を進めている。今後、TMIが材料加工まで見据えた組成の改良を進め、アイシンがナノメットを採用したモーターの量産技術や実装設計を担う協業体制で実用化を進めていく。

 ナノメットは薄さ25ミクロンの薄帯形状で、一般的に使用する電磁鋼板の10分の1だ。積層・加工などを行い部品にするが、割れやすいという材料特性があるため、同社は「量産に向けた生産技術開発がカギになる」(惠良拓真EV推進センター第1EV先行開発部モータ開発第3グループグループ長)としている。

 両社は29年までの量産を視野に入れる。自動車をはじめとするモビリティ機器をはじめ、発電や産業機器、家電などでの採用も目指していく。

 試作したモーターステーターは、24日に開幕する「人とくるまのテクノロジー展2023横浜」に出展する。