HySEの新設を発表した国内二輪4社の首脳

 ヤマハ発動機や川崎重工業傘下のカワサキモータースなど国内二輪4社は17日、二輪車を含む小型モビリティ用水素エンジンの基礎技術を研究する組織を5月中にも設立すると発表した。これまで培ってきた内燃機関の技術を生かす道を探る。まずは5年かけてモデルベース開発(MBD)で設計技術を確立させる。

 「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合」(HySE、ハイス)」として、正組合員の国内4社のほか、四輪用水素エンジンを開発するトヨタ自動車、水素の供給に知見を持つ川崎重工業も特別組合員として参加する。海外の二輪メーカーや部品メーカーなどの参画も募る。

 二輪車では電動バイクの開発や商品化が始まっているが、価格や航続距離など課題も多い。ヤマハ発の日髙祥博社長は「内燃機関は日本のストロングポイントだ。水素エンジンならその強みを生かせる。ユーザーとしても電気バイクだけでは少し寂しい」と語った。出力100キロワット(136馬力)程度までのエンジンを想定し、軽自動車やフォークリフト、漁船、ドローン(無人航空機)などへの搭載も視野に開発する。

 ヤマハ発とカワサキがエンジン試験、スズキは要素技術などを担当し、ホンダがMBDのモデル構築を担う。

 二輪4社は、電気二輪車に用いる交換式電池の標準化に向けたコンソーシアム(企業連合)を設立するなど協業関係を深めてきた。協調領域をさらに広げ、多様なカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)技術の実現を目指す。