住友電気工業は、高速・大容量通信に対応する車載光ハーネスを2026年にも実用化すると発表した。電線を用いる従来のワイヤーハーネスに比べて軽量なうえ、伝送速度10Gbps(ギガビット毎秒)超の超高速通信が可能だ。26年のサンプル提供開始に向け、自動車メーカーだけでなく、センサーやチップなどを手がけるメーカーとのアライアンス(企業連合)も構築していく。

 開発中の光ハーネスは、自動運転用を含む車内外の大容量データ通信を支える役割を持つ。電気信号で通信する一般的なワイヤーハーネスでは、通信の高速化に伴い耐ノイズ性能が悪化するが、光信号は電磁波ノイズの影響を受けにくく、安定した通信ができる。部品重量の点でも、ガラスやプラスチックなどで構成する光ファイバーは有利だ。

 公開された形状サンプルには、光信号の分岐機能として、住友ベークライトのポリマー光導波路を組み込んである。これにより、カメラなど高精細センサーの膨大なデータを分岐させ、自動運転ECU(電子制御ユニット)とディスプレーへの同時送信ができる。同社が長年、培った光通信技術とワイヤーハーネス技術を融合し、車載通信ネットワークの付加価値を高めている。