国土交通省は、福井県永平寺町で展開中の自動運転移動サービスに関する実証実験車両を、全国で初めて道路運送車両法に基づく「レベル4」(特定条件下における完全自動運転)の自動運転車として認可したと発表した。実証実験を受託する産業技術総合研究所(産総研)が中部運輸局に申請し、3月30日付で認可を取得した。

 国交省は、2021年度からレベル4自動運転移動サービスの実現に向けた実証実験を経済産業省と共同で実施。永平寺町での実証実験は、産総研とヤマハ発動機など民間企業とで組織したコンソーシアムが取り組む。

 このレベル4自動運転車は、故障や天候急変などで自動運転を継続することが困難な状況が起きた場合、安全に停止することが可能で、車内と遠隔地に運転者は不要だ。

 自動運転車の運行主体は永平寺町。ヤマハ発の電動カートを産総研が改造し、自動運転機能を追加した。運行区間は「永平寺参ロード」のうち、約2キロメートル。道路に敷設した電磁誘導線上を追従しながら時速12キロメートルで走る。

 産総研や永平寺町などは、4月1日に施行された改正道路交通法の「特定自動運行に関する許可」を申請し、レベル4での技術・サービス実証実験を実施する予定だ。

 政府は、限定地域での自動運転移動サービス実現に向けて、25年度をめどに50カ所程度、27年度までに100カ所以上で自動運転の実証事業を実施する目標を持つ。

 国交省では、23年度を「自動運転実装元年」と位置づけ、23年度の自動運転実証事業の採択件数を前年度の9件から30件程度にまで大幅に増やす方針だ。公募を4月中に開始できるよう準備を急いでいる。