IAAEで毎回恒例の「オートアフターマーケットサミット」は3氏から始まった
BSサミット事業協同組合の磯部君男理事長
全日本ロータス同友会の室谷眞一相談役(TMコーポレーション社長)
BSサミット
ロータスクラブ
日本自動車機械工具協会(機工協)は初出展。6月開催の第37回「オートサービスショー2023」をPRした
日本輸入車整備推進協会(JISPA)

 9日に閉幕した「国際オートアフターマーケットEXPO(IAAE)2023」(主催=国際オートアフターマーケットEXPO実行委員会)は、3日間の来場者数(登録ベース)が前回に比べて約4500人多い1万4155人だった。この中で、ひときわ盛況だったのは、「第20回記念フォーラム」だ。セミナー会場では立ち見客が出るなど、多くの来場者の関心を集めていた。

 同フォーラムのタイトルは「混迷と変容の四半世紀と、これからの自動車アフターマーケット~業界構造の変節を正しく捉えるために~」。BSサミット事業協同組合の磯部君男理事長と全日本ロータス同友会の室谷眞一相談役(TMコーポレーション社長)、オートバックスセブンの住野公一相談役の3氏が登壇した。3氏は所属企業・団体の歴史を振り返るとともに、これからのオートアフターマーケットを展望した。

 その中で、「自動車メーカーから選ばれる整備工場にならなければ今後の商売が難しくなる」(磯部理事長)、「アフターマーケットでは自動車メーカーに対し、きちっと一つになる必要がある」(室谷相談役)と訴えた。

 例えば、自動運転の「レベル3(限定領域における条件付き自動運転車)」以上の自動運行装置を搭載する車両は、自動車メーカーと契約できなければ認証を取得できない。2月末で約9万ある整備工場のうち、レベル3以上の車両整備の資格が与えられているのは216事業場しかない。

 こうした状況を踏まえ、磯部理事長は、「事故車修理のDRP(ダイレクト・リペア・プログラム=入庫誘導)の主体が損害保険会社から自動車メーカーに移行する時代が来るのでは」と指摘する。その時代に向けて、「(独立系の)整備工場も自動車メーカーの認定をもらうことができる方向性で事業運営を進める必要がある」と強調した。

 他方、ロータスクラブの室谷相談役は、「組織の中で、自動車ユーザーの情報が一本化できておらず、各社任せになっている」と現状を嘆く。「アフターマーケットにおいて情報共有は(事業運営で)最もパワーになる」としており、「組織内での情報の一本化が実現できれば、それがどのような変化を生み出すのか楽しみだ」と助言を送った。

 また、同じエリアの整備工場が協業・協力する「地域連携」の課題を指摘した。地域連携は整備技術の高度化に対し、各社がそれぞれの得意分野で補い合う仕組みだ。室谷相談役は石川県の能登エリアで、指定整備工場6社といち早く取り組みを始め、各社の中間地点にセンターを開設した。その中で、「指定を大事にし、センターがあるにもかかわらず、各社で従業員の人数を減らすことができていない」という。地域の保有台数を踏まえると「指定要件の整備士数は多すぎる」とし、「早々に解決していく問題だ」と地域連携の先駆者としてアドバイスを送った。

 室谷相談役は最後に「自動車メーカー軸に対して団体・企業が一つになる気概が必要だ」とし、「新しい時代がそこまで来ている。その準備が必要となる」とアフターマーケットの団結を呼び掛けていた。

(村上 貴規)