トヨタ自動車は3月15日、18、19日に開催するスーパー耐久シリーズ第1戦に出場予定だった水素エンジン車が欠場すると発表した。8日に実施したテスト走行中、エンジンルームの気体水素配管から水素が漏れて車両火災が発生。車両の復旧作業が間に合わないため出場を断念する。日刊自動車新聞などの取材に応じた佐藤恒治執行役員は「想定通りに安全機能は作動した」と述べ、安全機能により大幅な延焼を防ぎ、火災によるけが人も発生しなかったという。
トヨタは開発中の水素エンジンを搭載した「GRカローラ」でレースに出場しており、今シーズンからはこれまでの気体水素を、より航続距離を延ばすことができる液体水素に切り替える予定だった。今回の故障は液体水素への燃料変更が直接的な原因ではなく、車両振動による配管結合部の緩みが生じたことで水素漏れが発生した。配管結合部がエンジン近辺にあったため、漏れた水素が熱され、引火した。ただ、水素リークセンサーによるフェールセーフが正常に機能し、0.1秒以内に水素供給が停止されたという。
今後は配管経路や結合を見直すほか、万が一、水素が漏れた場合でも熱源に近づかないような設計に見直す。テストを重ね、5月26~28日開催予定の第2戦への出場を目指す。
佐藤執行役員は「課題を出すことがテストの目的でもある。大事なことは出てきた課題をどのように次に生かすか。改善の手を緩めることなく前に進める」と述べた。
また、豊田章男社長は「水素社会実現のために始まった活動。私が運転することで水素の『危険』イメージを『未来』イメージに変えていくことが狙い。未来へのチャレンジは止めない」と、水素エンジン車のレース活動を継続することを強調した。