【ブリラム(タイ東北部)=福井友則】トヨタ自動車は、タイ・ブリラムのチャーン・インターナショナル・サーキットで12月17、18日に開催された耐久レースに水素エンジンを搭載した「GRカローラ」で参戦した。水素エンジン車が海外のレースに出場するのは初めてで、レーシングドライバー・モリゾウとして豊田章男社長も自らハンドルを握った。走行中に二酸化炭素(CO2)をほとんど排出しない水素エンジン車を走らせ、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現に向けた選択肢をタイでも示した。

トヨタは国ごとに異なるエネルギー政策や電源構成を踏まえ、多様なパワートレインの選択肢を示すために水素エンジン車の開発を進めている。限界性能を引き出し速度を競うレース環境を実証の場に選び、昨年から水素エンジン車で国内のスーパー耐久シリーズに参戦している。タイをはじめアジアでも電気自動車(EV)以外の選択肢を広げるため、同車両を初めて海外で走らせた。25時間耐久レースで約8時間走行した。

開発中の水素エンジンは、「GRヤリス」ベースのラリー車に搭載し、ベルギーで開催されたラリーでもデモ走行を行っている。豊田社長は「水素エンジン車の世論が(日本、欧州と)広がる中で今回はアジア。(カーボンニュートラルを進める)動きがタイで始まった」と述べた。