中国・比亜迪(BYD)の日本法人ビーワイディージャパン(BYDジャパン、劉学亮社長、横浜市神奈川区)は2月23日、日本国内で販売している電気自動車(EV)バスについて、ボルトやナットなどの防錆剤として六価クロムを含んだ溶剤を使用していると発表した。1月に発売したEVの乗用車「ATTO 3(アット3)」については、六価クロムの使用状況を現在調査している。BYDの六価クロム使用問題を巡っては、日野自動車が発売を凍結したBYD製小型EVバスに使用していたと日刊自動車新聞が2月20日に報じていた。

BYDジャパンは、日本国内で小型・中型・大型のEVバスを販売している。同社では防腐剤として使用する六価クロムについて、車両製造後や通常の車両運用において乗員や乗客および整備などメンテナンス担当者への影響はないとしている。廃車時も、同社指定のリサイクル事業者を通じて六価クロムの無害化処理を行って処分するため、環境への影響はないとしている。

ただ、BYDジャパンでは今後の対応として、2023年末に日本国内で納車を予定する新型EVバスについては、六価クロムを使用しないで製造するとしている。

六価クロムは、金属表面の腐食を防ぐ特性があるものの、人体に有毒なため、2000年代に欧州などで規制が始まった。日本でも08年1月から、日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)が自主規制として自動車への使用を禁止していた。BYDジャパンは、EVバスへの六価クロムの使用について「日本で販売するために必要な法規には準拠している」としている。

日本国内におけるBYD製EVバスは、BYDジャパンが販売する車両以外に、日野自動車にBYD「J6」ベースの小型EVバス「ポンチョZ(ズィー)EV」をOEM(相手先ブランドによる生産)供給して2022年度内に発売する予定だった。ただ、六価クロムを使用していることなどを理由に日野は2月16日に発売凍結を発表している。