全トヨタ労働組合連合会(全トヨタ労連、鶴岡光行会長)に加盟する製造系組合は15日、2023年春闘の要求書を一斉に会社側に提出した。121組合すべてが、賃金の底上げに当たるベア(ベースアップ)や働き方の改善などを含めた「改善分」を要求した。金額を公表していないトヨタ自動車労働組合を除く120組合の賃上げ平均要求額は、物価上昇などを踏まえて1万2751円と前年より6598円多く、「過去20年で一番高い水準」(星野義昌副会長)となった。
全トヨタ労連は同日、組合会館「カバハウス」(愛知県豊田市)で会見を開いた。冒頭、吉清一博事務局長はトヨタ自動車の豊田章一郎名誉会長が亡くなったことについて「今日の自動車産業の発展と労使の相互信頼関係の礎を築きあげてきた功績に対し、心より哀悼の意を表したい」と語った。
吉清事務局長は、足元の状況認識として「40年ぶりの消費者物価の上昇と言われており、組合員の生活への影響も大きい」と述べた。また、星野義昌副会長は「物価上昇を踏まえて労働の価値を高めていく」と強調した。
ベアを含む改善分をすべての組合が要求したのは18年以来、5年ぶり。従来の賃金改善分に加え、物価上昇を踏まえた基準賃金引き上げや光熱費高騰による在宅勤務手当などを要求することで昨年を大幅に上回る水準となった。
一方、一時金については半導体不足による業績悪化を踏まえ、5カ月以上要求したのは全体の9割弱の105組合となり、平均要求月数は前年から0・01カ月少ない5・07カ月となった。
全トヨタ労連には300組合が加盟し、組合員は35万7千人。販売系組合(175組合)は17日に要求書を提出する。製造系は3月15日、販売系は23日を統一回答日としている。