国土交通省は、トラック輸送事業における適正な取引環境づくりに向けて実施した「貨物自動車運送事業における取引状況分析調査」の結果を公表した。日本貨物運送協同組合連合会(吉野雅山会長)のインターネット求荷・求車マッチングシステム「WebKIT(ウェブキット)」について7年間(2014年4月~20年3月)の募集・成約データを分析したもの。ウェブキットが長距離運行時の帰り荷を探す際に利用される場合が多いほか、地域間の運賃差異は集荷地域の運賃相場が大きく影響していることを確認した。
ウェブキットの募集・成約データを活用し、運賃・料金(燃料サーチャージなど)の収受状況、取引状況などのデータを整理・分析し、これらが成約単価にどのように影響するのかを調べた。
輸送品の登録案件数をみると、全体の件数は18年度まで順調に伸びたが、19年度に入ると米中貿易摩擦や消費増税により減少傾向に入るとともに、20年1月以降の新型コロナウイルス感染症の流行によって前年比が27・5%減少した。さらに20年度はコロナ禍が通年響き、さらに3割近く落ち込んだ。
成約単価は、18年度にかけて緩やかに上昇。19年度にはほぼ横ばいになった。
20年度はコロナ禍が響き大きく下落した一方で成約率が高まった。この時期は経済停滞でB2B(企業間)の物流量が減少しており、通常時よりも低い価格での成約が増え成約率を押し上げたと推察される。
成約ベースで地域別の「集荷数」「配送数」の差を見ると、関東・近畿・中部から出た荷物が他地域へ配送されていく様子が確認できたる。この結果、ウェブキットが長距離・帰り荷を探す際に利用される場合が多いと推察した。
地域間の単価を比較すると、7年間を通して集荷・配送ともに単価を上から並べた際の順位は概ね同じだった。しかし、単価の開きは集荷地域別で見たときの方が大きく、輸送案件の価格が集荷地域の影響を色濃く受けている可能性が示唆された。
これらの結果から国交省は、求荷・求車システムのさらなる効果的な運用では、相性のいい顧客同士のマッチングや取引におけるルールを一層、明確化する工夫が必要とした。