ジェイテクトは、歯車(ギア)事業を強化し、ロボットアーム用歯車などの産業用ロボット市場を開拓する。同社は昨年、刈谷工場(愛知県刈谷市)内に「ギアイノベーションセンター」を新設し、受託生産と工作機械を連携して売り込む体制も整えた。今後はロボットアーム用歯車をロボットメーカーやユニット部品メーカーに提案するなど、労働力不足を背景に成長を続ける産業用ロボット市場で、ティア2(2次部品メーカー)として商機をうかがう。
同社は2021~23年度を「体質強化の3年」と位置付け、「経営基盤強化」「競争力強化」「将来への種まき」「仕組みづくり・人づくり」という4つのキーワードを掲げて、23年度に事業利益1千億円を目指している。競争力強化では、グループのシナジーを発揮し、自動車の電動化やロボット領域をはじめとする産業機械の成長市場で需要拡大に応える計画だ。今年8月には電気自動車(EV)の駆動用モーターシステム「eアクスル」向け超小型デファレンシャル「ジェイテクト・ウルトラ・コンパクト・デフ」(JUCD)も開発した。
競争力強化の一環として、工作機械見本市「JIMTOF2022」では、EVのモーターシャフトに特化した研削盤や、二酸化炭素(CO2)の排出量削減に貢献する横形マシニングセンタを展示した。
ギアイノベーションセンターの開設後、ロボットメーカーから歯車の引き合いが来たという。マシニングセンタと連携するロボット部品の分野でも、同社の高精度な歯車が採用される可能性が出てきた。佐藤和弘社長は「最終的な商品は時代とともに変わるが、工作機械やベアリングなど、ベースの製品群を持つことで攻める分野を変えていける」と自社の強みを語った。