大型EVトラック「eアクトロスロングホール」

 【ハノーバー=永田剛久】ダイムラー・トラックは、2030年までに欧州市場で商用車の新車販売の6割を電気トラック(EVトラック)と電気バス(EVバス)、燃料電池(FC)トラックにする電動化戦略を発表した。メルセデス・ベンツブランドでは1充電当たりの航続距離が500㌔㍍の大型EVトラック「eアクトロスロングホール」の量産を24年に開始する。20年代後半にはFCトラックを量産するなど、ゼロエミッション車を軸に電動化を推進する方針だ。

 20日に独ハノーバーで開幕した世界最大規模の商用車ショー「IAAトランスポーテーション2022」に先立ち、18日に会場内のブースで報道陣向けの発表会を開催した。

 メルセデス・ベンツブランドでは、長距離輸送用のeアクトロスロングホールの試作車を初公開した。長寿命で多くのエネルギーを使用できるリン酸鉄リチウム電池(LFP)を採用し、メガワット充電により30分以内に20%から80%まで充電できる。23年に顧客先で試験導入し、24年に量産を開始する予定だ。

 大型EVトラック「eアクトロス300」のトラクター仕様は112㌔㍗時の容量を持つバッテリーパックを3個搭載し、1充電当たりの航続距離が最大220㌔㍍。欧州の標準的なセミトレーラーをけん引できる。23年後半に量産を開始する。中型EVトラック「eアテーゴ」も数年内に導入する。

 三菱ふそうトラック・バスの小型EVトラック「eキャンター」の次世代モデルの欧州仕様車も発表した。

 ダイムラー・トラックでは「前回(18年)のIAAから4年間で電動車両が8モデルに増えた」(商用車部門総責任者のマーティン・ダウム取締役)。EVとFCトラックの2本柱で電動化を進めることで、30年までに欧州の新車販売に占めるゼロエミッション車の割合を6割に引き上げる目標を達成する。