日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)は4日、大阪大学と共同で2020年から実施してきたバッテリー交換式電動二輪車の実証実験結果を公表した。実証参加者の79%がバッテリー交換の手間について「満足」と回答するなど、バッテリーシェアリングの利便性の高さが評価された。また、二輪車使用未経験者が参加者の55%を占め、新たなモビリティへの関心の高さを示す結果となった。自工会は今回の実証実験で得た知見を、今秋に二輪車メーカー4社とENEOS(エネオス)ホールディングスでスタートする新たなシェアリングサービスに生かす考え。

 同日、大阪大吹田キャンパス(大阪府吹田市)で「eやんOSAKA」の実証結果を記者発表した。自工会二輪車委員会委員長の日髙祥博副会長(ヤマハ発動機社長)は、「交換式バッテリー普及に向けて可能性を感じる結果となった」と手応えを示した。

 実証は3カ月ごと1~6期、計1年6カ月にわたり実施した。阪大の学生及び教職員130人に電動二輪車を貸し出し、街中での日常生活に活用してもらった。走行距離は季節変動があるものの、月当たり100~300㌔㍍とガソリン車とほぼ変わらない走行実績だった。バッテリー交換場所はキャンパス内2カ所と近隣のコンビニエンスストア「ローソン」に10カ所設け、利用結果はキャンパス内がほとんどでコンビニは主要道路沿いのコンビニが多かった。

 参加者ごとに利用距離や頻度にばらつきが出たが、一方で交換式のバッテリーは利用がある程度平準化されることが分かった。これにより、交換式ではバッテリーの極端な劣化を防ぐことができるという。

 ホンダ、ヤマハ発、スズキ、カワサキモータースとエネオスは4月に「Gachaco(ガチャコ)」を設立し、今秋から二輪車のシェアリングサービスを開始する計画だ。今回の実証実験では、航続距離について「満足」と回答したのが46%と半数に満たず、普及にはステーション密度を高めて航続距離の弱点をカバーする必要性がありそうだ。