日野自動車が27日に発表した2022年3月期決算は、排出ガス・燃費試験不正問題やリコール費用などの特別損失を計上したことで当期純損益が847億円の赤字となった。当期純損失は2期連続。また、新型コロナウイルス感染拡大による需要減や型式指定取り消し処分を受けた車両の出荷停止などによって減収となった。23年3月期の通期業績予想については、型式指定取り消し車両の出荷再開の時期が未定のため公表を見送った。

 営業利益は、材料市況悪化を、主に東南アジアでの拡販や収益基盤強化活動の継続などで吸収し、3期ぶりに増益となったが、国内・海外での認証関連損失の計上や繰延税金資産の取崩しにより当期純損失は847億円と大幅に悪化した。

 世界販売は同9・7%増の15万6473台。日本は同2・5%減の5万8158台とマイナスだったが、海外は同18・6%増の9万8315台と増加した。

 同日のオンライン説明会で小木曽聡社長は、今夏に発売予定の小型電気トラック「デュトロZ EV」について「大きな変更がないよう慎重に対応を進めている」と述べた。また、下義生会長が6月の定時株主総会で退任することについては「引責ではない。経営責任の所在は特別調査委員会で調査結果が出てからとなる。今回、『株主の理解を得られない』との下(会長)の申し入れもあり、取締役候補から外したが、調査には引き続き協力してもらう」と説明した。