日野の排ガス不正で中古トラックの価格がさらに高騰し、流通が鈍化する可能性も

 日野自動車でエンジンの排出ガス・燃費試験の不正が見つかった問題で、新車、中古車市場への影響を懸念する声が広がっている。対象車両の新規出荷が止まったことで、納車日の変更が余儀なくされる顧客もいることから、全国の系列ディーラー各社は、受注企業などへの説明に追われている状況だ。出荷再開のめども不透明なため、中古車への引き合いが強くなるとの見方が広がりはじめた。

 国土交通省は29日、不正行為があったエンジンと搭載車両の型式指定を取り消した。取り消し決定日までに生産、検査を終えた車両は登録が認められる。しかし、日野では不正発覚を発表した3月4日以降、対象車種の出荷を止めており、足元では予定通りの納車が難しくなった車両が増えているのが実情だ。系列ディーラーでは「納車予定先へのお詫び訪問で、状況と今後の対応を説明している段階」(販売店関係者)となっており、現時点で出荷再開などの具体的な見通しは説明できないとみられる。

 新車トラックの供給が滞れば、中古車の発生量や取引価格への影響は避けられない。すでに半導体不足による自動車メーカーの生産調整などによって新車供給量が減っていたため、中古トラックの価格は上昇傾向にあった。中古車オークション(AA)関係者は日野の不正問題を受け、「中古トラックの相場が落ちる要素が見当たらない」(AA会場責任者)と指摘する。

 実際、トラックを中心とした商用車ビジネスを幅広く展開するタカネットサービス(西口高生社長、横浜市中区)では、中古トラックの高騰を危惧する。西口社長は「電子商取引(EC)の需要拡大で物流企業は人手もトラックも不足している」とした上で、「日野の問題で中古車流通がさらに鈍化するのでは」と予測する。今後、運送事業者などにおける車両代替への影響は避けられなさそうだ。

 荒井商事(荒井亮三社長、神奈川県平塚市)によると、同社のトラック専門AAとなる小山バントラ会場(栃木県小山市)では、2月の平均落札価格が約115万円と、前年同月に比べ1割ほど高かった。今後、さらに高騰する可能性もあるとみており、同社の担当者は「半導体不足の影響で、そもそもタマがない中、さらに新車の納車が遅れれば出品台数が少なくなるだろう」と、流通量不足に懸念の声をあげる。

 足元のトラック市場について、別のAA関係者は「特に中型トラックの需要が伸びている」と指摘する。型式が取り消された車両には中型トラックも含まれており、「日野のデータ不正の影響で供給量が減れば、取引相場が上昇する可能性もある」と話す。新車トラックの納期はもともと長く、即納できる中古トラックのニーズは高い。日野の新車供給の正常化が遅れれば、今後はこうした傾向に、さらに拍車が掛かる可能性もある。