トヨタ自動車は7日、福岡市と水素利用推進で連携協定を締結したと発表した。ゴミ収集車や移動式発電・給電システム車などの燃料電池車(FCV)を福岡市が導入する。トヨタや商用車メーカーなどで立ち上げたCJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)とも連携し、水素活用のサプライチェーンの課題抽出や水素社会実現に必要な規制の検討などを進める。

 福岡市は「水素リーダー都市プロジェクト」を掲げ、トラックやバイクのFCVの実証実験や、生活排水から水素を製造してFCVに供給する世界初の取り組みを進めている。2021年11月には、トヨタがスーパー耐久レースに参戦した水素エンジン車に生活排水由来の水素を供給し、連携した経緯がある。

 今回の協定では、第1弾の取り組みとして、福岡市の給食配送車やゴミ収集車のFCV化をはじめ、移動式発電・給電システム「ムービングe」を導入し、CJPTと連携しながら、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」一連のサプライチェーン実証を行う。福岡市内のゴミ回収は夜間に行っており、走行時の静粛性に優れたFCVを活用し市民生活の質向上も狙う。

 トヨタZEVファクトリーFC事業領域の濱村芳彦統括部長は「新しいことにチャレンジする時、今の制度ではうまくいかない場合もある。実際に使って市民に理解を進めてもらい、いい技術だと思ってもらえるよう挑戦していきたい」とFCVの社会実装に意欲を示した。