トヨタ自動車は21日、自動車購入後のアップデートサービスを来年1月下旬から始めると発表した。まずは車種や施工店舗を限定して始め、サービスの完成度を高めながら全国に展開していく。車両価格の上昇や技術進化の速さを踏まえ、顧客満足度を高めるとともに新たな収益機会を探る狙いがある。

 アップデートサービスは「KINTOファクトリー」と名づけた。新車のサブスクリプション(定額利用)とは別のサービスだ。KINTOの小寺信也社長は「お客さまと接点を持ちながら付加価値を創出するという思いで、キントのサービスを今後も多様化させていく」と説明した。

 衝突被害軽減ブレーキなど安全装備の性能を上げる「アップグレード」、内外装を交換する「リフォーム」、運転データをもとに車両制御を最適化する「パーソナライズ」の3本柱で展開する。

 まずはトヨタ「アクア」「プリウス」「プリウスα」「アルファード」「ヴェルファイア」、レクサス「UX」「NX」の7車種を対象に、アップグレード(パーキングサポートブレーキやブラインドスポットモニターなどの後付け)とリフォーム(シート表皮やクッション部分、ステアリング表皮などの交換)を提供する。対象となる年式や詳細なサービス、料金などは開始時にウェブサイトで公開する。施工店舗はトヨタモビリティ東京(TM東京、関島誠一社長)の芝浦店、レクサス荻窪、トヨタユーゼック(北口武志社長、千葉市美浜区)の「カーロッツ浜松」など6拠点で始める。パーソナライズサービスも追ってスタートさせる。当面は個別に料金を設定するが、安全装備のアップグレードは将来的にサブスク形式での提供も視野に入れる。

 トヨタがこうした事業に乗り出す背景には、環境や安全面で急速に進む技術の進化と使用年数の長期化が同時進行していることがある。自動車検査登録情報協会によると、乗用車の平均使用年数は13・87年。10年前より3・47年延びた。小寺社長は「保有期間が延びる横で良い技術ができる。この技術をお届けした方がお客さまにとっても付加価値が高いと判断した」と語る。先進国では右肩上がりの市場拡大が見込めない中、メーカーとして新たな収益機会を探る狙いもある。