大嶋電機製作所のHP

 ミツバは31日、子会社でドアミラーや自動車ランプなどを手がける大嶋電機製作所(片桐晴一社長、群馬県太田市)を村上開明堂に売却すると発表した。ミツバは保有する大嶋電機製作所の全株式84・2%を村上開明堂に譲渡する。譲渡実行日は2022年4月1日で、譲渡額は非公表。ミツバは、四輪車向け事業の選択と集中を進める中で、ドアミラーやランプはコア技術に属さないと判断し手放す。今後は主力のモーターや機構制御領域に経営資源を集中して生き残りを図る。

 ミツバは、海外拠点の拡大や設備投資など採算性よりも規模を追求したことや、価格競争の激化、高付加価値製品の開発の遅れなどで業績悪化が加速したことを受け、不採算事業の縮小などの事業構造改革や生産拠点再編を進めている。

 16年度の営業利益率は6・9%だったが、19年度には2・8%にまで落ち込んだ。昨年7月に策定した24年度を最終年度とする中期経営計画では、事業の選択と集中に着手し、収益基盤の改善を急ぐ。四輪車事業では、モーターや機構制御などに集中し、不採算事業を縮小する。併せてグローバル生産供給体制の再編にも踏み切り、昨年12月には小型プレス部品などを生産する落合製作所を閉鎖。今月にはウォッシャーポンプやパワースライドドアシステムなどを手がける新潟工場を閉鎖する予定。今回の大嶋電機製作所の売却も、拠点・事業再編の一環となる。

 大嶋電機製作所は1960年に設立し、88年からミツバグループとしてドアミラーなどの製造を担っており、スバルなど国内自動車メーカーに製品を供給している。同社の21年3月期の業績は売上高82億円、営業損益が1500万円の赤字、当期純損失が3400万円の赤字だった。

 自動車用バックミラーなどを手がける村上開明堂は大嶋電機製作所を譲り受け、顧客基盤の拡大につなげる。村上開明堂は静岡県や福岡県に生産拠点を持つ。譲受後は大嶋電機製作所を東日本エリアの重要な生産拠点と位置付け、同社の実績を生かしビジネス拡大を図る方針。