新型コロナウイルス感染拡大の影響などで、経営悪化を理由とした人員削減に着手する部品サプライヤーが相次いでおり、自動車部品業界への影響が深刻化してきた。既に、私的整理の一つである事業再生ADRを申請したサンデンホールディングス(HD)や、工場閉鎖を決めたミツバをはじめとする大手サプライヤーが苦渋の決断を余儀なくされた。完成車メーカーの生産活動は徐々に戻りつつあるが、コロナ禍の収束時期が不透明な中、サプライヤー各社は人員や拠点の最適化による生き残り策を急いでいる。企業のM&A(合併買収)を専門とする日本M&Aセンターの太田隼平マネージャーは「今秋以降にM&Aのピークが来るのでは」と予想しており、今後も厳しい局面は続きそうだ。

 6~8月にかけて、希望退職者を募る部品サプライヤーが相次いでいる。ダイヤモンド電機やタチエス、河西工業などが150~300人規模の人員削減を発表した。足元の収益改善と人員の適正化が狙いだが、コロナ禍による需要減が続けば、もう一歩踏み込んだ施策を取らざるを得ない可能性もある。

 「今後、コロナの影響がどれだけ出るか分からない」。コロナ禍の長期化を想定し、将来に備えた財務体質の改善を優先したサンデンHDは、6月に事業再生ADRを申請した。1千億円余りの借り入れ金の返済条件の見直し協議を金融機関と進めると同時に、資本業務提携の可能性も検討する。主力の欧州市場がコロナ禍で大幅に減収減益となったことが響き、2020年3月期の決算では53億円の営業赤字に転落した。現時点では拠点閉鎖や人員削減の考えは公表していない。

 ミツバも、コロナ禍で主力の中国と北米の売上げが低迷し、国内2工場を閉鎖する決断を下した。欧米の拠点に関しても統廃合を視野に入れる。加えて、第三者割当増資で200億円の資金調達も行うほか、約500人の希望退職者も募集した。今後はパワーウインドーなど市場の伸びしろが限られている領域への投資は抑え、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)など先進領域に絞って投資を進める。

 「今秋以降に回復傾向に転じるのでは」(大手サプライヤー首脳)との見方がある一方で、「コロナの影響は22年上期まで残ると想定している」(ブリヂストンの石橋秀一代表執行役CEO)と長期化を懸念する声も少なくない。影響が長引けば、体力の弱い企業の経営状況の悪化は避けられず、当面は予断を許さない状況が続きそうだ。