昨年度常滑市で行われた自動運転バス実証実験

 愛知県の大村秀章知事は7日の記者会見で、2021年度の自動運転車の実証実験計画を発表した。「レベル3相当」の小型バスなどを利用し、まず8月をめどに名古屋市内で一般車両との混在交通で自動走行を試す。さらに常滑市では、遠隔監視を取り入れたシステムを実験する。これらによって自動運転の社会実装を後押しし、早期の活用につなげていく。

 名古屋市内では名古屋工業大学やJR鶴舞駅、イオンタウン千種の周辺という交通量が多い幹線道路のあるエリアで試験する。同実験に初参加する高速バス大手のウィラー(村瀨茂高代表取締役、大阪市北区)が幹事会社を務め、る。都市部における自動運転による移動をテーマに、名古屋駅と鶴舞を自動運転車で結ぶモビリティサービスの実用化を目指す。実験車両には仏ナビヤ製の小型電気バス「アルマ」を使用する。

 長久手市では愛・地球博記念公園(モリコロパーク)、常滑市では中部国際空港島をコースにそれぞれNTTドコモを幹事会社とした企業グループが試験する。いずれも昨年と同じコース、同じ事業者が実験することでデータを積み上げていく。

 モリコロパークではマルチモーダルMaaS(複数のモビリティサービス)の可能性を模索する。リニア公園西駅から園内目的地までを自動運転車で接続し、途切れ目のない移動の実現を目指す。自動運転システムを導入したトヨタ「ジャパンタクシー」が公道を走行し、園内はティアフォーのオープンソース自動運転ソフトウエア「Autoware(オートウエア)」の技術を用いたカート3台を走らせる。

 中部国際空港島では遠隔監視を利用して、日野自動車「ポンチョ」をベースとした車両2台を同時運行する。遠隔監視は人工知能(AI)を活用した映像解析を利用する。早朝と深夜に運行する。

 県では2016年度から自動運転の実証実験を行ってきた。商用5G(第5世代移動通信)やAR(拡張現実)などを遠隔監視の自動走行の技術に組み合わせ、自動運転によるビジネスモデルの構築に取り組んできた。