都心部の配達で商用EVの活用が進みつつある

 世界的な環境規制の強化に伴い、クルマの動力源を内燃機関から走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しないモーターに切り替える動きが活発になってきました。日本でも2050年にCO2排出量を実質ゼロにするため、電動車の普及拡大に向けてさまざまな取り組みが進められています。

 EU域内では、2021年から新車で販売する乗用車が排出するCO2を、平均130㌘/㌔㍍から同95㌘/㌔㍍へと3割近く減らすよう規制が厳しくなります。環境規制は今後も世界各地で段階的に強化される予定です。これを乗り切るため、自動車メーカー各社は電動車の商品化に力を入れています。

 自動車の世界最大市場の中国でも、政府が電気自動車(EV)など「新エネルギー車(NEV)」の普及を進めています。これに呼応して「上海モーターショー2021」では、自動車メーカー各社が電動化戦略を発表。日系では25年までにトヨタ自動車がEV15車種のグローバル展開、日産がハイブリッドシステム「eパワー」搭載車の6車種投入をそれぞれ表明しました。

 電動車は、蓄電池の電力で動くバッテリーEVだけではありません。水素と酸素の化学反応で発電しながら走る燃料電池車(FCV)はEVの一種です。内燃機関とモーターを組み合わせたハイブリッド車(HV)や、HVにコンセントから充電できる機能を加えたプラグインハイブリッド車(PHV)も電動車です。

 EVの普及では電池、モーターの高性能化とコスト低減が重要な鍵を握ります。内燃機関よりも100倍鋭いと言われるモーターのレスポンスを利用した新たな走行制御の実現も期待されます。

 ただ、EVの充電に火力発電の電力を使用していてはCO2排出を減らせません。1台分の容量がスマートフォン数千台分と言われるEV用バッテリーのリサイクル体制確立も懸案です。こうした社会的な課題を解決することが、EVのメリットを引き出すために必要です。