日産陣営はEVに使う電力にさかのぼり低炭素化を進める

 国の補助金制度の拡充を追い風に、日産自動車は、電気自動車(EV)の販売を軸とした脱炭素化の機運づくりを加速する。補助金制度では車両本体の購入支援に加え、再生可能エネルギーの電力調達や外部給電機と組み合わせたメニューが新たに追加。EVの場合、現行の制度に比べて倍額となる最大80万円が支給される。日産は新制度を契機に、販売台数を積み上げるとともに、再エネ電力プランを取り扱う販売会社を広げることで、ライフサイクル視点でのカーボンニュートラルを推進する狙いだ。

 日産は1月に、2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体の温室効果ガス排出の実質ゼロを実現する新たな目標を発表した。10年12月に誕生したEV「リーフ」は、非常用電源として被災地での給電活動を通じて、電動車ならではの魅力を発信してきた。SUVタイプの新型EV「アリア」の発売を控えるほか、三菱自動車との軽自動車のEVなどラインアップの拡充も進めている。一方、現状の国内販売に占めるEV比率は1%未満で、価格や航続距離などがネックとなり本格普及のハードルは高い。

 最近の世界的な脱炭素化の流れを受け、EVを取り巻く環境は大きく変化している。政府はグリーン成長戦略の中で、今後10年でEVの導入を強力に進めていくとの方針を掲げる。その具体策として、20年度第3次補正予算では、電動車を対象とした購入支援事業を拡充し、計3つのEV補助制度がそろった。

 従来の補助制度「クリーンエネルギー自動車の導入補助金」(CEV補助金)は、車両購入費用の一部を国が支援するスキームで、リーフの場合、支給額は42万円。これに対し、環境省が新規追加した補助制度は、自宅や事業所の電力調達を100%再エネに切り替えることを条件に、補助額を増額。「リーフe+X」の場合、80万円の補助が受けられる。現行の補助金より38万円増額され、実質の負担額は361万1千円にまで下がる。

 経済産業省の新補助金は、防災に必要な充放電設備などの導入を要件に、車両に対して60万円を助成する。「補助金は来年度の上期には使い切ってしまい、下期いっぱいはもたないかもしれない」(日産)と申請数の増加を期待する。

 環境省が補助金支給対象として認めた日産系の電力メニューは、「e―でんきfоr日産関西再エネプラン」をはじめ、関西エリアを中心に供給されている。今後は幅広い販社でも「取り扱えるよう準備していく」(日産)とし、対応するディーラー数を増やしていく考えだ。

 日産陣営はかねて、EVと親和性が高い電力販売を積極化してきた。16年4月の電力自由化を受け、日産大阪(白土貴久社長)は17年1月から「日産大阪 e―でんき」の販売を開始。電力供給は伊藤忠商事系のエネクスライフサービス(田中文弥社長、東京都千代田区)が行い、一般的な電気料金に比べて割安に設定する。ディーラーを通じた販売により、EVの購入と電力の切り替えを「ワンストップで提案」(日産)することでユーザー側の利便性も高める。(長谷部 博史)