トヨタ自動車は、2015年7月に発行した第1回AA型種類株式について、残存株式をすべて取得し、来年4月に消却すると発表した。現時点での残存規模は約4779億円で、下期の経過配当相当額を上乗せし、手元資金で買い取る。

 同社は、次世代技術への投資と、中長期的な目線で株式を持つ株主層の形成を狙いとし、5年間の譲渡制限がある代わり、5年後に普通株への転換や、発行価格で投資家から買い戻すことが可能な取得条項などをつけた同種類株を1株当たり1万598円で発行し、総額4992億円を調達した。

 調達資金をCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)関連の開発に充てたほか、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資やSDGs(国連による持続可能な開発目標)経営といった価値観も社会に広がり始め「一定の成果をあげることができた」(近健太執行役員)と判断し、取得条項に基づく権利を行使し、全株を株主から取得して消却することにした。

 トヨタが発行したAA型種類株式は流動性がない半面、配当を得ながら元本保証に近い性格を持つ。