これは「火の用心」「盗人用心」である。木と紙で作られた日本の家屋は、火災が一度発生すれば、大火になる恐れは、充分であった。それだけに火事に対して、「地震・雷・火事・親父」の諺の通り、家名相続者にとって火事を出したが最後、家の没落は火をみるより明らかであった。木村卯兵衛家の「家法定事」には、火事に対する対応策が、事細かに記されている。「一 火の用心…