石油元売り大手はEVの検証などを積極化する

 石油元売り大手が、電気自動車(EV)の普及を見込んだ取り組みを加速している。出光興産は日本ユニシスとともに、EVや蓄電池、再生可能エネルギー、住宅を組み合わせてエネルギーを有効活用する実証実験を来年3月から実施する。ENEOS(エネオス)は日産自動車と連携して電動車両を活用したダイナミックプライシングの実証を11月から実施する。コスモ石油も系列店への充電設備の設置を進めている。自動車の燃費向上や、電動シフトによって国内石油需要は低迷しており、今後の成長も見込めない中、電動車時代の収益構造への転換を模索する。

 出光興産は、今後のEVやプラグインハイブリッド車(PHV)の普及を想定して再生可能エネルギーの有効活用や、電力を安定供給する事業への参入を目指す。実証実験では、出光興産の完全子会社のソーラーフロンティアの国富工場(宮崎県)で2021年3月から12月まで実施する。

 事務所での電力需要、整備するソーラーカーポートの発電量、複数のEVの稼働などについて予測した上で、EVと蓄電池の30分単位の充放電計画を作成、これに基づいて太陽光発電システム、EV、蓄電池を統合制御する。EVの電池や蓄電池を活用することで、再生可能エネルギーの効率的な利用と、消費電力のピークシフトを実施する。

 エネオスも日産とともに、EVを使った電力需要ピーク時の電力消費を抑制する実証事業を実施する。福岡県、長崎県の日産のEV「リーフ」を所有する数百人に、電気供給契約を「ENEOSでんき」に変更してもらい、夏季を除く午前10時から午後2時までの電気料金が割引されるダイナミックプライシングのオプションプランに加入してもらう。実証参加者の充電データから、時間別料金によるEVユーザーの充電行動への影響を分析・検証する。

 また、コスモエネルギーホールディングスグループのコスモ石油マーケティングも今年6月、東京電力ホールディングスと中部電力が設立したeモビリティパワー(四ツ柳尚子社長)と提携した。将来のEV社会到来を見据え、コスモ石油系列ガソリンスタンド(給油所)にEV用急速充電器の設置を進めている。

 自動車の低燃費化で国内の石油需要は減少している。今後、EVなどの電動車両の増加で、さらに石油需要は縮小することから、石油元売り各社は系列給油所でEV・PHV充電器の整備を進めている。

 EV、PHVが本格的に普及した場合、電動車に充電する夜間などに電力需要が急増して電力系統の負荷が増大し、停電することなどが懸念されている。出光興産やエネオスは、EVや蓄電池を活用する電力需要の平準化する技術の確立を目指しており、電動車時代の新事業創出を目指している。