横浜市の有名観光地の近くに立地する
アプリで操作や電池残量、残充電時間を確認できる。会員登録は不要にした
49・7㌔㍗時の蓄電池を設置し、エネルギーを効率的に活用する
併設するカフェはオリジナルブランド。海外ではコンビニエンスストアなどの事例も

 エネルギーソリューションを手掛けるデルタ電子(柯進興代表取締役、東京都港区)と出光興産は、横浜市中区にカフェ併設の電気自動車(EV)充電ステーションを開設した。もともと出光のガソリンスタンドだった店舗跡地を活用し、EV充電と時間貸し駐車場、独自ブランドカフェの複合サービスを提供する。今月上旬に開いたオープニングセレモニーで、デルタ電子の柯代表は「現状では充電サービスだけでは成り立たない」と説明した。今回の複合型店舗は、新たなビジネスモデルを検証する実証店舗として位置付ける。

 複合型EVステーション「デルタEVチャージングステーション」は、横浜スタジアムや人気観光地の横浜中華街に近い立地にオープンした。敷地面積は約900平方㍍で、4基の充電器と6カ所の駐車スペースを設置する。3基の充電器は日本の「CHAdeMO(チャデモ)」と欧州の「CCS(コンボ)」対応の出力25㌔㍗の急速充電器で、日産自動車「リーフ」の場合は約30分で充電できる。残りの1基はビークル・ツー・ビルディング(V2B)用の充放電可能な機器で、災害時などはEVから電力を供給することで支援拠点としても活用していく考えだ。こうした電力設備は、デルタ電子の製品を設置した。

 充電器はスマートフォンなどのアプリケーションで操作する。会員登録は不要で、決済は登録したクレジットカードなどで行う。1回の利用ごとに併設カフェの無料クーポンをもらえ、充電している間にカフェで憩うことも可能だ。充電の残り時間やバッテリー残量はアプリから確認できる。同じスペースを充電スタンドと時間貸し駐車場で兼用し、利用者が充電したまま近くの観光地を巡ることも可能にしている。

 同店舗は電気の効率的な利用を目指すエネルギーマネジメントシステム(EMS)も導入した。出力125㌔㍗のパワーコンディショナーと約50㌔㍗時の蓄電池のバッテリーエネルギー貯蔵システムからの充放電制御で、店舗全体の消費電力や負荷の平準化などを行う。例えば、消費電力が設定した上限値を超えると、蓄電池からの放電やEVへの充電量を制御し、電力系統からの購入を減らすことで契約電力と基本料金の削減につなげる。また、消費電力が下限設定値を下回った時や深夜帯は、蓄電池への充電を行うなどし、消費電力が高い時に蓄電池へ充電することがないようにコントロールする。消費電力の平準化のほかにも、電力の使用状況などの可視化や、クラウドサービスによる遠隔からのモニタリングや管理、設定を可能にして施設全体の故障診断やリモートメンテナンスなども行っていく。

 EVは、日本でも燃費規制や環境問題への対応などで需要が高まっていく見通しだ。ただ、デルタ電子は現状の充電器単体のビジネスモデルでは限界があるとみており、立地条件に合わせた複合サービスを提供することで新たなビジネスモデルを検証する方針だ。横浜市の実証店舗では人気観光地やオリジナルカフェを活用し、新たな顧客体験の創出に取り組む。

(村上 貴規)