希少な車種がズラリと
トヨタブースの主役は50周年を迎えるセリカ
100周年を迎えたマツダは往年の名車を多数展示
ホンダはモータースポーツの源流と現在を表現するモデルを用意
今年の主催者展示は60年代のルマンカー
ヤナセがVWの取り扱いを検討する際に仕入れたサンプル車両

 コロナ禍でもつなぐ自動車文化の輪―。新型コロナウイルス感染拡大の影響でイベントの中止や自粛が相次ぐ中、万全の感染防止策を実施した上で開催にこぎつけたイベントがある。7月31日~8月2日まで幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された旧型車の展示・販売イベント「オートモビルカウンシル2020」だ。自動車メーカーやインポーター、専門ショップなどが貴重な旧型車を展示。自動車文化の魅力を発信した。

 自動車文化の歴史を体感できるこのイベントは、2016年に始まった。往年の名車から最新のモデルにつながるクルマの進化を1つの会場で楽しめる。前回は3万4692人が来場し、旧型車ファンだけではなく、その知人や家族らでにぎわった。

 ただ、5年目を迎える今年は新型コロナへの対応で会場の様子が大きく変わった。特別内覧日(31日)の同時入場者数を3千人、一般公開日(1、2日)を5千人に制限し、感染リスクを抑止。加えて、全来場者の体温測定やスマートフォンを使用した追跡サービスの登録、外気の導入による会場内の換気といった対策を実施した。また、来場者を制限したことから、ウェブを活用した情報発信にも力を入れた。

 入場制限により、3日間累計来場者数は1万1230人と大幅に減少した。だが、出展企業による珍しい車両の展示やサプライズなどで会場内は盛り上がりを見せた。

 主催者展示では、「60年代ルマンカーの凄みと美しさ」をテーマに、イソ「グリフォA3/C」とアルピーヌ「M63」を展示した。特にイソのグリフォA3/Cは、フェラーリの元チーフエンジニアであるジョット・ビッザリーニ氏がグリフォをベースに設計したワークスカーで、製作されたのは6台だけ。貴重な車両に注目する来場者が多かった。

 トヨタ自動車は「トヨタ博物館」としてブースを構え、誕生50周年を迎える「セリカ」を中心に展示した。1973年に登場したトップグレード「セリカLB 2000GT RA25型」のほか、90年のサファリラリーで優勝した4代目セリカの「GT―FOUR ST165型」、88年の北米IMSAでクラス優勝した「セリカ・ターボ」を並べた。

 マツダは「R360クーペ」(60年)や三輪トラック「グリーンパネル」(38年)、「コスモスポーツ」(67年)など往年の名車を展示したほか、100周年を記念した「MX―30」の特別仕様車を公開。さらに電気自動車(EV)として投入するとアナウンスしていたMX―30のマイルドハイブリッド仕様を今秋投入すると発表した。

 67年に開発したフォーミュラカー「R300」を展示したホンダは、R300の赤と白をモチーフにした「シビックタイプR」と並べて展示。発売を延期していた次期型シビックタイプRをマイナーチェンジして10月に発売すると発表した。

 2回目の出展となるヤナセは旧型車のレストアを手がける「クラシックカーセンター」の取り組みを紹介するとともに、52年にフォルクスワーゲンの取り扱い業務検討のためにサンプルで輸入したフォルクスワーゲン「タイプ1」など希少な個体を公開した。