近年、部品メーカーの再編が相次いでいますが、その背景にある理由の1つがCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)への対応です。

 既存の自動車メーカーは異業種を巻き込んで激化する次世代自動車の開発競争を勝ち抜くため、技術力や供給力のあるサプライヤーの存在を重要視しています。ただ、世界の自動車メーカーを相手に幅広い製品を供給するメガサプライヤーを除くと、すべての要求に応えられる部品メーカーは限られ、各社は生き残りをかけて他社との企業連携を進めているのです。

 2019年には国内部品メーカーの大型統合案件が相次ぎました。トヨタ自動車系ではデンソー、アイシン精機、アドヴィックス、ジェイテクトが出資する自動運転制御ソフト開発の合弁会社「J-QuAD DYNAMICS」、デンソーとアイシンが折半出資する電動化駆動モジュールの開発などを手がける「BluE Nexus」が立ち上がりました。また、トヨタとデンソーは車載半導体開発会社「MIRISEテクノロジーズ」を設立。電動化、自動運転、半導体の領域で大型再編を進めています。

 さらにホンダ系では、ケーヒン、ショーワ、日信工業の3社と日立製作所傘下の日立オートモティブシステムズが経営統合することを決めました。このほか、カルソニックカンセイが伊マニエッティ・マレリを買収、クラリオンは仏フォルシアグループ入り、ミネベアミツミが子会社化したユーシンなども新体制に生まれ変わりました。

 自動車産業が直面する100年に1度の大変革期。部品メーカーにとっては従来の製品力を磨くだけでは生き残れない時代となりました。他社との連携強化によって付加価値を創出する。これこそが自動車部品産業の業界再編の動きを生んでいるのです。