スズキの歴史をたどると、トヨタ自動車と同じく織機製造事業をルーツに持ちます。1909年に鈴木式織機製作所として創業し、20年には鈴木式織機として法人設立しました。織機メーカーとして歩みを始め、現在は二輪・四輪車、マリン、電動車いすなど事業を多角化しています。2020年3月15日には創立100周年を迎えました。

 初代社長の鈴木道雄氏による創業から約40年間、織機事業を中心に発展してきましたが、1955年に日本で初めて前輪駆動方式を採用した軽四輪乗用車「スズライト」を発売し、四輪車事業に参入しました。現在では「アルト」「ワゴンR」「ジムニー」「ハスラー」「スイフト」など、軽自動車や小型車の分野で多くの人気車種を世に送り出しています。

 スズキの2019年度の世界四輪車販売台数は約285万台と、日本の自動車メーカーで4位に位置します。このうち主力市場のインドでは、約143万を販売しました。インドでは1982年に国営企業と四輪車の合弁生産に合意し、その翌年に生産を開始しました。現在のインドは世界第5位の自動車市場に成長し、その中でスズキはシェア50%と高いポジションを維持しています。インドのほか、ミャンマーにも新工場を建設することを発表しており、新興国での存在感を高めています。日本では約67万台を販売しました。

 年々グローバルで厳しくなる環境規制などに対応するため、2016年10月にトヨタ自動車と包括的な業務提携に向けた検討を発表しました。その後、インド向けの電気自動車(EV)の協業やトヨタのハイブリッド技術のスズキへの供与など関係を深めてきました。一歩踏み込み、19年8月には資本提携することで合意し、電動化や自動運転の分野でさらに協業を深化させます。