TGRは13、14日に初開催された「バーチャル・ ル・マン24時間レース」に参戦した     

 ホンダ子会社のモビリティランドは12日、10月に開催予定だったフォーミュラワン(F1)日本GPの開催中止を発表した。他のモータースポーツも新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためスケジュールの大幅な見直しを迫られ、プロモーター(興行主)やサーキット、スポンサーなどは苦境に立つ。一方、インターネットを使った「eモータースポーツ」が広がりを見せる。

 コロナ禍は世界中を転戦する世界選手権を直撃した。ホンダがパワーユニットを供給するF1は3月15日にオーストラリアで開幕するはずが、練習走行の数時間前に延期を決定。今月2日になって前半8戦のスケジュールがようやく決まった。ただ、トヨタガズーレーシング(TGR)が参戦するWRC(世界ラリー選手権)とWEC(世界耐久選手権)は中止が続く。TGRとスバルが参加するニュルブルクリンク24時間レースも中止された。

 国内のイベントやモータースポーツも厳しい。トヨタ自動車とホンダ、モビリティランドの3社が共催して3月に行う予定だったシーズン開幕前のイベント「モースポフェス2020 SUZUKA~モータースポーツファン感謝デー~」が中止に追い込まれ、国内競技の双璧であるスーパーGT、スーパーフォーミュラはいまだ開幕できずにいる。スーパーGTの興行主、GTアソシエイション(GTA)は4日、国内では富士スピードウェイ、鈴鹿サーキット、ツインリンクもてぎの3会場に絞って開催し、開幕戦から第4戦までは無観客で行うことなどを公表した。

 未曽有の危機に見舞われているモータースポーツ業界だが、サーキットに足を運べないからこそ新たな楽しみをファンと共有する取り組みも広がる。

 eモータースポーツはその一つで、自動車メーカーも本腰を入れ始めている。TGRは4月末に「eモータースポーツフェス」を開いたほか、翌月末にはスバルと組んで「eニュルブルクリンクレース」も行った。

 GTAは21日に「SGT×GTSスペシャルレース」を開催する。現役ドライバーと往年の「レジェンドドライバー」が腕を競う舞台はeモータースポーツならではで、参戦車のカラーリングやステッカーの組み合わせも一般から募る。

 スーパーGTレースディレクターの服部尚貴氏は「参戦ドライバーから『レース再開を待ってくれているファンに対して何かできないか』という声が上がった。実際には存在しないクルマとカラーリングを組み合わせる想像力も今まで以上にスーパーGTに興味を持ってもらうきっかけになれば」と期待する。

 レーススケジュールは動き始めてはいるが、大半が無観客での開催となる。レース関係者は「チケット売り上げや会場での飲食代などの損失はサーキットの収益減に直結する。チームやスポンサー企業にとってはプロモーションやマーケティング活動の場も失う」と苦境を語る。

 全世界で延べ20億人が視聴するF1をはじめとするモータースポーツは、サッカーなどと並ぶグローバルコンテンツだ。モータースポーツビジネスの観点からも早期のレース再開が待たれる。