国土交通省は、2019年度のリコール台数が前年比28・2%増の1053万4494台になったと発表した。タカタ製エアバッグ関連を除くと974万1698台で、タカタ関連以外のリコール台数でも3年ぶりに過去最高となった。タカタ関連を含む総台数で1千万台を超えるのも3年ぶり。一部メーカーで発生した不適切な完成検査問題により、大規模なリコール措置を行ったことで全体の水準を押し上げた。国交省では今後も適切なものづくりやリコール申請を呼びかけ、ユーザーの安心や安全につなげていく考えだ。

 19年度のタカタ関連のリコール台数は79万2796台。タカタ関連だけで1千万台近い届け出があった15年度に比べれば10分の1以下の水準となっており、タカタ製エアバッグの市場措置は、ほぼ落ち着いたと言えそうだ。

 一方、19年度のリコール台数を押し上げたのは、完成検査問題だった。スズキが19年4月18日、国交省に届け出たリコールはOEM(相手先ブランドによる生産)供給車を含めて29車種と広範にわたり、対象台数も201万4343台と同年度で最も多いリコールとなった。リコールの総台数は18年度に比べて約230万台増えており、この増加分の大半を占めた格好だ。

 また、部品共通化の加速もリコール台数の増加につながっている。1つの部品を複数のモデルで使用することは開発や生産の効率化に加え、コストダウンにも貢献する。しかし、ひとたび不具合が発生すると、複数車種に波及して台数が上振れしやすくなる。事実、19年度はダイハツ工業が「ムーヴ」など6車種を対象に届け出た制動装置のリコールが157万5379台となり、通年で第2位のボリュームだった。

 近年では先進運転支援システムの普及など車両の高度化が進んでおり、制御装置のプログラムを対象にしたリコールも増えている。近い将来の自動運転時代を見据え、今後は電子的な部品などへの品質対策が、リコールの発生を左右していきそうだ。