首都高の高架で上空が覆われた日本橋

 国土交通省は、首都高速で進めている日本橋区間の地下化に伴い都心での環状移動が困難になる大型車交通の対策として、新線を建設する方針を固めた。八重洲線の西銀座ジャンクションから、都心環状線の京橋ジャンクションまで約1・2㌔㍍を地下トンネルで接続して新たな環状網を構築する。日本橋の地下化は東京五輪・パラリンピック後の着工予定で、10~20年での完成を見込む。新線の工事も約10~15年かかる見通しを示しているが、日本橋地下化と同時期の供用開始を目指すことで、円滑な交通の実現につなげる。

 日本橋の地下化によって、江戸橋ジャンクションで都心環状線は行き来ができなくなる。このため、検討会では少し西側を通る八重洲線の機能を拡張するとともに、この先を整備することで環状機能の移管を検討してきた。地下ルート新設案のほか、現在、京橋─西銀座を結ぶ民間事業者の東京高速道路(KK線)を機能強化する2案の比較検討を行ってきた。KK線は道路構造令を満たしておらず、大型車の通行には大規模な改修工事が必要。銀座地区を通るKK線の高架下には多くのテナントも入居しており、工事によっては退去期間が長引く恐れもあった。こうした周辺影響も考慮して、地下ルートを選定した。

 また、将来の道路網の拡張性も考慮した。首都高は臨海部から都心に向かう高速晴海線の延伸が見込まれるが、KK線ルートだと接続が難しかった。地下ルートによる新たな都心環状ルートでは、相互アクセスが図りやすいことも決断を後押しした。

 今後は新線の早期事業化に向け、概算事業費の算出や事業主体の選定などを進めていく。道路機能としての役割が大きく低下することになるKK線の今後については、東京都の検討会で詰めていく。KK線は銀座地区のランドマークの一つとなっており、同線を含めた将来のまちづくりを考えていくものとみられる。