タクシー配車アプリを手がける電脳交通は、自治体や企業と連携する「地域交通アライアンス」を発足して、公共交通機関が縮小する地方での「移動」に関する課題解決に乗り出すと発表した。

少子高齢化などの影響で交通空白地帯は拡大しており、 地域住民の移動手段の維持・確保が大きな社会問題となっている。課題解決に向けてデマンド交通や自家用有償旅客運送など、さまざまな運行形態の検討が進んでいる中、 同社は自治体や企業との連携を密にして地域交通の課題解決を加速するため、既存事業とは区別した形で経営資源を投下し「地域交通アライアンス」を発足することにした。
地域交通アライアンスでは、電脳交通が持つ既存のタクシー配車システム機能を地域交通の課題解決に向けてカスタマイズや、必要に応じて新たに開発したソリューションを提供することや、自治体、運行事業者の実証実験や本格運用する際の取り組みを支援する。自治体や運行事業者などの運用側と、これを実現するためのソリューションを持つ企業とのマッチングやコーディネートも実施していく。
また、電脳交通は2019年2月にはJR西日本、日本交通、篠山市(現・丹波篠山市)と連携して観光客向けタクシー乗り放題サービスの実証実験、2019年3月にはNTTドコモ、山口市阿東地域を運行エリアとするタクシー事業者2社と連携して公共タクシー運行実証実験を実施した。

今後、NTTドコモとは今春を目処に、新たに2つの地域で公共タクシーの実証運行を実施する予定で、運行に必要な新機能の開発を進める。JR西日本とは観光地でアプリを通じて鉄道とタクシーのワンストップ移動サービスを提供する観光型MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)や、移動手段を確保して、住みたい街に住み続けられる地方交通型MaaSサービスを開発していく構え。